円安とチャイナパワーでレトロゲームがいよいよまずい
以前どこかの記事でわたしはレトロゲームソフトをたとえ珍しいものでも定価越えのプレミア価格で購入するのは自分の歯止めが効かなくなるから行わず、地道に足を使って購入しやすいお得な価格の商品を探す。なんてことを言っていましたが、昨今のレトロゲームソフトの価格を見ているとそんなこと言っている場合ではないと思い、今後絶対に手に入れたいと考えていたゲームを急いで購入しました。まずはその急いで購入した一例をさらっとご紹介。
ペインターモモピー。シグマ商事が1990年に発売したゲームボーイ用のアクションゲーム。汚れた床を掃除して掃除し終わればクリアのシンプルなゲームなんだけどパッケージイラストが子供の頃大好きだった爆笑戦士SDガンダムという漫画の作者「佐藤元」先生なのと、一度プレイしたら耳からなかなか離れない素晴らしい音楽が秀逸なゲームで大好きなんですよ。
以前はこのゲームを持っていたはずなんだけどいつの間にかどこかに行ってしまったようなのでいつか購入しようと思っていました。しかし先日某リサイクルショップで箱説無しなのに1万円越えで売られているのを見てこのままでは買えない価格になるんじゃないかと懸念して急いで購入。ネットでクーポンを駆使したのでそこまで高額ではなかったけど10年ほど前はペインターモモピーが定価以上の価格になるなんてとても思えませんでした…
久しぶりに遊んだペインターモモピーはやっぱり音楽が良かった。ゲーム自体はいわゆるドットイートなのでパックマンが苦手なわたしはこれも得意ではないのですがゲームの雰囲気がとても良いのでたまに触りたくなります。
セプテントリオン。ヒューマンが1993年に発売したスーパーファミコン用のアクションゲーム。アクションゲームだけど敵に攻撃されることはないし(トラップでダメージを受けることはあるけど)敵を攻撃することもないんだけどこれがまた面白い。端的に説明すると沈没する船から脱出するゲームなんだけど何かと衝撃的な部分があるゲームなのです。
船はリアルタイム60分で完全に沈没します。ゲーム中プレイヤーはどんなに高いところから落下しても死亡はしない(その代わり時間が経過する)んだけど、60分経過すると…当時中学生だったわたしはゲームでこんな複雑な気持ちになれるんだとショックを受けました。これも昔もっていたはずなのにいつの間にかどこかに行ってしまったので買いなおし。久しぶりに遊んだら脱出ルートを全然覚えていなくて60分経ってゲームオーバー。やっぱり複雑な気持ちになれました…なぜ複雑な気持ちになるのかはネタバレにもなるので気になった方はぜひ自分で体感していただきたいですね。
その他にもいろいろ買っているけどキリがないので最近特に値上がりしたと感じたこの2本を紹介させていただきました。どちらも面白いゲームなのでお安く売られていたら確保することをお勧めします。で、なんでそんなこと言っている場合じゃないと定価越えのレトロゲームを買うようになったのかというと、タイトルにある通り円安のせいなのです。
もともとレトロゲームって数は減る一方だし大体のレトロゲームは希少で他に移植されていない(会社が倒産したりしてされる予定もない)からプレミア価格になっているのに、極端な円安で海外からの買い付けが増えてレトロゲームの価格が跳ね上がったんですよ。ちょくちょく価格をチェックしているのですがコロナ禍前の頃と比べると人気のプレミアソフトはほんと倍近い価格で取引されていたりします。
価格が上がるのは最悪お金を出せば購入できるけど輸出されて物が無くなってしまったらいくら支払っても手に入れることが出来なくなりますからね…で、こうプレミアなレトロゲームの価格が跳ね上がって在庫が無くなってくると生じる大問題が…
これ。
レトロゲームに詳しくない人からすればなんのこっちゃって感じだと思いますが、このサマーカーニバル烈火’92って2023年4月現在駿河屋さんだと箱説なしで95000円(税込)で売られています。つまり、高額なレトロゲームって今、
偽物
が作られて売られているんです。まぁ、偽物とはいっても本物のサマーカーニバル烈火’92って黒いカセットなのでこの売られているカセットはちょっと知っている方なら本物じゃないってすぐわかると思うし、偽物のレトロゲームソフトなんてかなり昔からチャイナパワーで結構生産されていたんですけど…
見た目で偽物とわかるレトロゲームソフトはまだ可愛いもんで「とんでもないもんチャイナは作っているなぁ」くらいで済んでいたのですが、最近登場してネット界隈が震撼したのがこの偽物。
スーパーファミコン用ソフト「奇々怪界 謎の黒マント」の偽物。余談ですが奇々怪界シリーズはハードを問わずだいたいプレミア価格となっています。こちらの偽物を駿河屋さんで売られている本物と見比べてみると、
2つ並べて見比べるとよく解るのですが細かい部分のラベルデザインが微妙に違います。赤みが薄くなっているし右上のスーパーファミコンマークが無いし左上のNATSUMEも違う。でもぶっちゃけラベルの間違い探しが問題じゃないんです。この偽物の奇々怪界が売られているサイトに結構びっくりする写真が貼られていまして…
なんとレトロフリークで偽物が認識されている写真が貼られているんです!これも知らない人からしたらなんのこっちゃって思うかもしれませんが、レトロフリークをご存じない方は上記リンクの記事を読んでいただくとして、レトロフリークってロムデータを取り込む時にそのロムデータが破損していないかとか本物かどうかとか色々チェックするんです。
で、これまでは偽物のソフトってレトロフリークでは動かなかったりゲームタイトルが「unknown」になったりしていたのですがそれが突破されているんですよ…いわゆるチェックサムをレトロフリークが確認してくれるので今まではある程度ゲームソフトの真贋判定に使えていたのです。それをパスするって事はすごい端的に言うと、
「本物と判定される偽物レトロゲームソフトが現れた」
っていう状況なんですよ…そんなレトロフリークで認識されているレトロゲームソフトの偽物が最近チャイナのサイトで何種類も売られていたのです。
現状、ラベルの出来が甘くカセット自体もバリが取れてないとかネジが違うとかいろいろと粗があるので目視で偽物を見分けることはできますが、ファイルチェックを突破している以上ラベルやカセットの造形が完璧にコピーされた「スーパーコピー」の偽物が登場するのは時間の問題なんじゃないかと思います。
というか最近は影を潜めていますがレトロゲームの箱、説明書、カセット、付属品等がかなり精巧に偽装されたスーパーコピー品って2〜3年前には結構見かけました。ただファイルチェックを突破したとは聞いたことがなかったのでレトロフリークのファイルチェックを突破する技術が合わさったらかなり真贋判定のしづらい偽物になりますよね。そうするとカセットをガバっと開けて基盤を確認するしかなくなるのですが、なかなか本物の基盤なんてお目にかかることがないからよほどコアなマニアじゃないと判断ができないでしょう…
で、このチャイナの偽物なんですが当たり前っちゃ当たり前だけど高額で取引されるプレミアソフトがやっぱり作られちゃうんです。つまり円安で品薄になって価格が上がったプレミアソフトは偽物が生産される可能性が高いので、急いでほしいプレミアソフトを購入したのです。
スーパーファミコンのトップレアであるレンダリングレンジャーR2も本物であれば30万円くらいで取引されているのに偽物はこの価格で購入できますからね…一応偽物を取り扱っているチャイナなサイトでは「これは本物ではありません」という節が購入ページに書かれているけど悪い奴はこれを使って詐欺を働いてもおかしくない話です。
スーパーコピー品が出現しなくてもファミコン以外のゲームソフト、例えばスーパーファミコン、ゲームボーイ、メガドライブやゲームギア、マスターシステム辺りはほとんどのゲームが同じ形状のカセットなんだから偽物と適当なゲームカセットの基盤を入れ替えてカラーコピーで精巧にラベルを作って貼ってしまえば気づかず購入してしまう人も少なからずいるでしょうね…
と、言うわけで欲しいプレミア価格のレトロゲームがある人は結構早めに購入を検討した方がいいかもしれません。チャイナなサイトでは今でも普通に偽物を購入できるし、フリマサイトで堂々と偽物を売っている輩がすでにおりますので高額な商品を購入する際はお気を付けください。大金を払って偽物をつかまされたんじゃたまったもんじゃありませんからね…
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