ひきこもりで地方創生

幼少時代、戦隊モノの特撮が好きだったのはヒーローがかっこいいからではなく悪い人たちの秘密基地に憧れていたからだったおよです。昔っからそういう人目に付かない穴蔵のような基地みたいなのに興味津々だったので、よく河川敷にそのへんに生えている草を使ってテント風の小屋みたいなのを組み立てたり、土手みたいな場所に横穴を掘ったり、友達のゆうや君の家の床下に穴を掘ったりしてました。

 

まぁ、ゆうや君の床下を本気で掘った時は土台がずれそうになり本気でゆうや君の親に怒られましたがね、とにかくそういう人目の付かない場所が好きなんです。意味もなく押入に籠もっていた時もありました。わざわざそんな場所で任天堂の携帯ゲーム機「ゲームボーイ」なんかをピコピコやってる子でした。バックライトがないゲームボーイは暗いところでは画面が映らないのでライトボーイというゲームボーイの画面を照らすライトをわざわざそのために買ったりしていたという。

 

そんな子供だったからか、大学を卒業して就職して実家を出て住んだ家は山の中で閑静すぎる住宅街の中にぽつりとあるようなアパートでした。人通りも無く、近くにお店もない。そんなおうちに住んで休みの日は引きこもってゲーム三昧でしたね。

 

そんな閑静な住宅街が好きで秘密基地を愛しているわたしに、当時勤めていた会社の上席であるたけさんはこんな話を持ちかけてきた。彼は社長だけあって顔がやたら広く、情報量も半端なかったのです。たけさんがどんな人なのかは下記のリンクからご覧ください。

 

AB型男はマメだけど雑

 

とある日、休憩中にお茶を飲みながらたけさんとだらだら話し込んでいました。彼は将来、田舎で隠居して土でも触りながらまったりと生きたい、なんて言ってました。この時から10数年経った今ではまさにそんな生活をしているみたいですがね。

で、これはまぁ、たけさんの家ってのが人里離れた場所にある集落の中の一軒で、その中に広大な敷地を持っているから言えるんだと思ったのです。普通の人が隠居して畑仕事なんか無理じゃないですか?なんてわたしが言うと、

 

ん、そうでもねぇよ。あんたでも住める。

 

なんて言うたけさん。だって田舎とは言え、例えば都会から近くに畑の持てる田舎に移住して畑仕事しようと思ったらそれ相応のお金がかかるじゃないですか。土地代に準備金…かかる勘定項目は数しれずでしょう普通に考えたら。と、言うと、

 

 

もらえばいいじゃん。

 

なんて軽くたけさんが言うので、誰がくれるんですかっ!と、言うと、

 

役所

 

なんて言うたけさん…なんで家や畑がもらえるの?とたけさんに聞いたら教えてくれた答えをまとめると、

 

・たけさんの家よりも、もっと秘境の地

 

・過疎化がひどい

 

・それの対策で永住を約束すればお役所から広大な土地と建物が二束三文で手に入る

 

らしい。田舎も大変なんですねぇ、って言ったら、

 

俺の友達、戸建て土地300坪くらいで100万だったなぁ。ただボロ家だから結構リフォームに金かかったみたいだけど。と、言うたけさん。

 

…確かに格安ですよね。新車買うより安くそのくらいの土地と建物が手にはいるなら…ただ、その場所が冬は建物が埋まるくらい雪が降るし、近くにお店もないから買い物に行くにもつらいだろうし…でも、まったり引き籠もるならそんな場所もいいかもなぁ。仕事さえあれば。なんてふと思ったり。

 

んじゃー将来そういう所に住むのもいいですねぇ、なんていいながらその時の会話は終わりました。時は流れて、つい最近の出来事。

 

とある田舎の集落の人と、どうやったら田舎に人を呼び込めるのか?なんて話題になりました。わたしはそういう、いわゆる田舎を活性化させる「地方創生」は専門的に取り扱っていなかったのであまり余計なことは言わずにお話を聞いてきたのですが、こちらの田舎でも人を呼び込もうと、たけさんのお話のような住宅補助なんかを行っていたそうです。

 

補助効果もあってちょこちょこ移住してきてくれた人がいたのですが、思ったより定着しないと言っていまして。なんでも、そういった方とコミュニケーションを取るためにしょっちゅう飲み会をしたり自治体で旅行に行ったりしているのになぁ…なんて言っていました。

 

 

なんというか、都会に人が集まる理由ってなんでかっていったら「便利」だからですよね。仕事も遊び場もあって交通の便がよくて学ぶにもいい環境なのが都会。逆に田舎に人が集まらないのは「不便」だからですよね。仕事場も遠くそもそも選べるくらい仕事がなくて、遊ぶところもないし車がないと生活できない、当然勉強をするのも不便なのが田舎です。

 

もちろん田舎のメリット、都会のデメリットもありますが、都市部に人口が集中するのは至って単純に便利だからで、田舎は不便だから人が離れていくんです。その前提で、ではなぜ都会から田舎に移住したくなる人がいるのかっていうのを考えれば自ずと田舎に人を集める答えは見えてくるはず。

 

都会から田舎へ人はなぜ移住するのか、実は地方創生を紹介しているサイトを見ると詳しく書いてあるのですが「都会での仕事のあり方に疲れた」とか「都会特有のギスギスした感じが嫌になった」とか「自然な環境で自然に生きてみたい」みたいな理由なんです。つまりは目標があって田舎でこれをしたい!って言うよりかは現在の環境に疲れたから田舎で癒やされたいって思って移住する人が多いようなのですよ。

 

ふらっと旅行で訪れて遊んだらそりゃ田舎はのどかでまったりとした時間が流れていますからね。ですが、いざ移住したら田舎って近所付き合いが意外と多いんですよ。都会だとアパートの隣人の顔も知らないなんてザラですが田舎ではそうも行かない、そしてこの話題になるとよく現れるのが消防団。都市部では殆ど無いけど田舎だとこの消防団でトラブルがぼちぼち起きたりしています。

 

消防団とは、消防組織法に基づいて各市町村に設置される消防機関で、火災の予防を中心に地域のためにその自治体の若者が集まって活動をしているのですが、田舎だと消防団に属しているとなにかにかこつけて飲み会が行われたり旅行に行ったりするんですよね。それが悪いことだとは思わないけど、やっぱり人だからそういう事が好きじゃない人も中にはいるじゃないですか。

 

ましてや都会から田舎に引っ越してきた人はぶっちゃけ「都会での人付き合いが嫌」で移住してきている人もそれなりにいるのに、静かに暮らそうとしていたら意外と飲み会ばっかりだった。なんてなったらそりゃまた引っ越しを考えてもおかしくないですよね。そして田舎の人はこのコミュニケーションを取る行為を悪気があってやってるわけじゃないんですよね。せっかく都会から来てくれたからおもてなしをしたい、みたいな。

 

で、都会から移住をしてきた人が消防団を断ったら、田舎の人が良かれと思って誘っているのに何を言っているんだと怒ってしまい、消防団に入らないなら結構高額な年会費を支払えみたいに言われてトラブルになったなんてお話は度々見かけます。

 

地方創生はまずこの都会の人が田舎に求めるものと、田舎の人が移住してくれた人へやってあげたい事の「ずれ」を直すことからだと思うんですが、なかなかどうも難しいんですよね、お互い人ですから。それに今までそうやって生きてきた人たちですからねぇ。

 

それで、地方創生を目指すならこの記事のタイトルなのかなぁと思ったわけです。人付き合いやギスギス感が嫌で都会から引っ越してきた人にまず住居の補助をして、自治体で在宅ワークを紹介すればいいんじゃないかなと。

 

アウトソーシングでできる業務を色んな会社に営業をかけて自治体が取りまとめ、移住者に振り分け自治体から給与を支払うシステムを確立すればけっこう引きこもりまでは行かなくてもまったりと過ごせていいと思うんですがね。今日び在宅ワークでできる仕事なんて山程ありますからね。

 

で、そうやって人と集まって遊ぶのが好きな人は自分から声をかけてきますから、役場の掲示板に貼っておくくらいに飲み会の誘いは控えておけば、現在は情報化社会ですからおのずと「住みやすい田舎」として広まっていきますよ。よっぽどの離島や秘境でない限りネット通販で大抵のものは買えるし、COOP宅配をはじめとした宅配サービスで生活用品は田舎でもおうちまで届けてくれますから。

 

逆に良くないのは交通インフラの整備ですかね。人を呼ぶためという名目でこれをすると、便利になった道路を使って都会に出ていっちゃうなんてどこかの記事で読みました。地元にお金を落とさなくなっては踏んだり蹴ったりですよね。

 

とりあえず都会の人が移住して田舎の土地に住んで貰えば税収もあるし地元にお金を落としてもらえますからねぇ。人との距離を保ちつつそっと自宅でお仕事をしてもらってちょっと家から出れば自然が癒してくれる…まずはそうやって都会からの切り替えが大事だと思います。慣れてきたら人恋しくなるだろうから、飲み会やイベントはそれからでも遅くはないですからね。

 

そんなわけで、秘密基地が好きなわたしが提案するのは「ひきこもれる田舎」です。本当は大手企業の工場を誘致する、なんて事ができれば田舎の発展につながるでしょうけど、そこまでしなくても自宅でできる仕事だけ引っ張ってきて取りまとめができれば人は喜んでくると思いますけどねぇ。弊社は在宅ワークのノウハウがあるので、そういうお仕事のプロデュースも承っております笑

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