レンタルビデオの悲劇
わたしの家はスマホとインターネット回線をソフトバンクに一本化してから暫く経つのですが、一本化した時にソフトバンクだとポイントが貯まるので作ろう作ろうと思っていたTポイントカードを先日やっとこさTSUTAYAまで行って作りました。カードデザインは(心の)ライバル、いらすとやさん。商用フリー素材として覇権を取った、今では官公庁でも見かけるキャラクターを捻出したデザイナーさんです。素材の豊富さと汎用性のある飽きの来ないデザインはもはや日本を牛耳っていると言っても過言ではありませんな。
てか、わたしはTポイントカードって発行手数料550円かかるってことを知りませんでした笑。ポイントカードだからてっきり無料で作れるのかなぁと思ったらそんなことはなかった。今までTポイントカードって作ったことがないのはおろか、実はわたしは自分でレンタルをしたこともないんですよね。本日はなんでわたしがレンタルをしたことがないのかってお話です。
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時は昭和64年1月8日の日。第124代天皇、昭和天皇が崩御なされて世間は自粛ムードになりました。テレビ番組は昭和天皇を惜しむ追悼番組ばかりになり、当時まだわたしは子供でしたので、見るテレビ番組が全くない状況になりました。この時の世間が一斉に喪に服した感じはかなり独特でしたね。亡くなる前年秋あたりからテレビ番組では速報テロップで心拍数や血圧、呼吸数なんかが表示されていたのもなんだか不思議な感じでしたし。
そりゃ日本の象徴が天に召されましたから、世間全体が喪に服すのは当然と言えば当然ですが…丁度その日予定されていたわたしのお友達のお誕生会までなくなっちゃいましたからね。ともやくん元気にしてるかなぁ…
当時、うちの家庭での娯楽って小さいわたしが考えられたのはテレビかファミコンくらいだったんです。今だったらスカパー!で専門チャンネルやらインターネットやらYouTube・ネットフリックスみたいな動画配信サービスとか、いくらでも家族で暇を潰せますけどね。
それで、テレビ番組がどの局もずーっと同じようなのばかり流れていてそれを見飽きてしまい、では違うことをと家族みんなでファミコンのスーパーマリオブラザーズをやりすぎてしまいまして…さすがにこのままゲームばっかりやってるのはまずいだろうなんて家族会議の末、ビデオを借りにいけばいいんじゃないか?なんて結論に。
当時うちにビデオデッキはあったんですが、見るものと言えば近所の本屋で安売りされていたアニメ(手塚治虫先生のドンドラキュラとか)くらいだったんですよ。なんでビデオデッキが家にあるの?ってくらいの使用頻度でした。
まぁ、こんな時だしビデオでも借りて見ようと、何回か借りたことのある近所の小さい寂れたレンタルビデオ屋へ。当時はうちの近所にTSUTAYAなんて巨大な店もなく、ビデオと言ったらこの店くらいでした。ここでGU-GUガンモの劇場版を借りて観た記憶があります。GU-GUガンモは細野不二彦先生の漫画で、へんてこな丸いニワトリみたいなガンモが主役でした。杉山佳寿子さんが担当しているその声はすっごい特徴的で、大人になった今でもネタとして声真似してる人を見かけます。
で、お店に入ると…なんとまぁびっくり!考える事はみんな一緒なんだなぁとポツリと言ったお袋の意見を象徴するかのように、棚に置かれたビデオパッケージの殆どに「貸し出し中」と貼られていました…ちなみにこのお店寂れながらも平成の中頃まで存在していたんですがね、多分この世間が喪に服したこの期間にボロ儲けした資金で小さい店ながらがんばっていたんだろうなぁなんて勝手に思っていました。それくらいこの時はビデオが貸し出されていましたから。レンタルビデオ屋のビデオがほぼ貸出中の光景なんて後にも先にもこの時にしか見たことがありませんな。
で、家族で何を借りようか、なんてビデオを物色を…するまでもなかったです。辛うじて残っていたのはジェイソンさんがバンバン人を殺める映画。つまりはホラーです。ホラーだけは在庫が少しだけありました。まぁ世間の雰囲気的にあまり見るものではないだろうけども…ちなみにさりげなく親父がアダルトなコーナーを閲覧。全部貸出中でなかったとか言ってたらお袋にひっぱたかれていました。まぁ子供の前ですからね。仕方ない。
まぁ、これしかないし…と言う事で、ジェイソンさんを借りて一同帰宅。早速ビデオデッキで再生してみます。
小さい子の前でホラーとは何事!なんて思うかもしれませんが、うちのお袋ってオカルトとかホラーとか妖怪とか昔から大好きだったので、フレディさんが色々と切り刻むやつとか額に666でオーメンとか、有名所のホラー映画はすでにわたしはこの時、閲覧済みで少し耐性が付いていたのです。なんせ楳図かずお先生の猫目小僧を初めとしたホラー漫画が絵本代わりでしたから。
で、ビデオスタート。ジェイソンさんが序盤から華麗に人を処理していきます。余談ですが、ジェイソンさんって殺める美学なのがあってびびりまくったりふざけたりバカにした態度を取ったりした輩はまー見るも無残な感じで処理されてしまうんですが、真っ向から立ち向かうと結構きちんと答えるんですよね。
わたしがジェイソンさんの処理で一番好きなのはボクサーみたいな人がジェイソンさんに真っ向勝負を挑んでボコボコパンチを放つんですがジェイソンさんに全然効かなくて「負けたよ、好きにしろ」なんてその人が言ったらジェイソンさんはパンチ一発で頭を吹っ飛ばすシーンです。真っ向から勝負を挑んだ相手に対する男の情けなんでしょう。基本ジェイソンさんは相手をなぶって処理するんですけどね、ジェイソンさんも人間らしい(?)一面があるんだなぁあるんだなぁなんて思いましたっけ。
話を戻します。淡々と再生を続けるホラービデオ。古いのか再生されまくったテープなのか、時折画面にノイズが入っています。それがまたジェイソンさんの恐ろしさを後押しする。恐怖倍増です。
いくらフレディさんやらオーメンさん、それこそジェイソンさんやらを見てきたからってやはり当時は子供でしたから怖いもんは怖いです。バンバン人を処理していくジェイソンさんにビビりながら家族で画面を見守っていました。そしたら親父と妹は気がついたらご就寝。おそらく二人共ホラーが嫌になったのでしょう。親父は今でもテレビで手術映像が出るとあっさりチャンネルを変えるくらい、怖いものとか血液が苦手ですね。
そして事が起こりました。物語も後半、今まさにジェイソンさんが人に襲いかかる!という時に…
バツンッ!
ガガガガガッ!
と音を立てるビデオデッキ!
テレビ画面は真っ暗に!
一瞬、あっうち呪われた!ジェイソンさんに呪われた!!!って3ミリくらいちびりましたよわたし…それくらい絶妙なタイミングで、
ビデオテープが切れる…
そこからパニックになる家族…というかお袋とわたし。そんな状態でも親父と妹はすやすやと就寝中。
やばいどうしよう!取り出しボタンを押してもビデオが出てこない…
ってことで仕方なしにコンセントを引っこ抜いて、ビデオデッキを分解してみる事に。ビデオデッキを開けた事がある人なら解ると思うんですが、ビデオテープって再生されてる時びろびろとテープがデッキの中でのばされてるんですよ。
で、変な所に切れたテープが引っかかっていたので丁寧にはずし、お袋の絶妙な瞬間接着剤とセロハンテープのさばきでビデオテープを修復。接着剤が乾いたので早速デッキで再生してみると…映るもんですなぁ、切れた部分と思われる場面は激しいノイズが走りますがそれ以外は普通に観れました…
とりあえずまた切れたら嫌だねって事でビデオテープを巻き戻しをして翌日何気なしに返却。以後レンタルビデオ屋さんから連絡くるかなぁなんて家族で話をしてましたが、連絡はこなかったので恐らく気づかなかったんですかねぇ。
…のちのち大人になってからTSUTAYAに勤めている知人にこの事を話したのですが、ビデオテープがデッキの中で絡まった場合、ビデオデッキを壊したビデオテープを貸したビデオ屋が悪くなるから、逆にいろいろ請求できたのに惜しかったねぇなんて言われました。なるほど確かに言われてみたらそうだけど、当時はビデオテープを壊したから弁償させられるんじゃないかしか考えられませんでしたね…
そんな訳で、借りたビデオテープは切れたら嫌だというトラウマのおかげで未だにわたしはビデオは借りれません。まぁ、もはや令和の今時ビデオテープのレンタルなんてほとんど存在しないでしょうけど笑。深夜番組で先日現存するレンタルビデオ屋さんが取り上げられてましたがそんなお店は稀ですよね。まぁ、その流れでわたしはDVDやブルーレイディスクのレンタルも未だに抵抗があり、今後も借りることはないでしょう。なので動画配信サービスが流行っている昨今は非常に助かっています笑
まぁそんな事があったにも関わらずジェイソンさんを筆頭にホラー系は今でも大好きです。最近は殆ど放映されないけどテレビでやっていると未だに見入ってしまいます。最後に地上波で見かけたのはITそれが見えたら終わりですかね。ほんと地上波でホラーはやらなくなりましたよねぇ。まぁホラーを観すぎてわたしはグロ耐性が付いちゃってるのがたまに傷ですが…
で、そのビデオ屋。平成の中頃まで、途中レンタルビデオだけでなくゲーム機を置いたりして頑張って営業していたんですが、最後は燃えてなくなりました。どこかで営業再開したって話は聞かないのでちょうど潮時だったんでしょうね。わたしが物心ついたときからずーっと寂れてましたから。
という事で、借りたビデオがいい所で切れてしまったので未だにレンタルに抵抗のあるおよでした笑。ちなみにわたしが本当に観たいビデオがあった場合、誰かに借りてもらって一緒に見ていたというのは秘密だ笑