自転車保険あれこれ
最近、宮城県のセブンイレブンでよく貼られているポスター。宮城県も自転車保険に加入するのが義務化されたみたいです。自転車保険加入義務化の自治体は年々増えてきているんですがそもそも自転車保険ってなんぞやって話ですよね。「自転車保険」という言葉自体わりと最近…ここ10年くらいでau損保が大々的に自転車保険を売り出してから聞くようになった言葉なんですよ。
最近聞くようになった自転車保険ですが、実はその存在自体はそれよりもっと前からありました。そもそも自転車保険って何か?って話なのですが、自転車保険は近年、自転車の重大事故によって自転車の運転手が高額な賠償金を請求されるケースがあり被害者の保護と加害者の経済的負担軽減のためにできた保険なのですが、もともと自転車保険は「個人賠償責任保険」(以下、個賠…こばいとよく略されて言われます)の保障内容の一部だったのです。
個人賠償責任保険とは個人の日常生活や住宅の使用・管理等に起因して第三者の身体や財物に損害を与え、賠償責任を負担した場合の損害を包括的に保護する賠償責任保険のことで、自転車で歩行者をはねてケガをさせてしまった、なんてのもこの個賠の保証範囲内なんですよね。個賠は単品の商品もありますが、自動車保険、火災保険、傷害保険等の特約として付加することが出来ます。
この、個賠は色んな損害保険の特約で付加できるって所が結構ポイントで意外と知られていなかったりするんですよ。個賠を単品で加入するより安かったりするので自転車保険の加入義務化なの!って焦る前にまずは住んでいる家にかけている火災保険とか、乗っている車の自動車保険に特約として付帯できるのか調べたほうが良かったりします。
と、いうか個賠って何かと便利な特約なのですでに付いていることも結構あったりするんですよね。実損補填型(請求された分だけ支払われる)なので個賠は重複してかけていても意味がないですから、注意が必要です。もし重複していたら保険金額が一番多いのを残しておけばいいかと思います。
ただ、1事故あたりの最大保険金額が保険会社別、保険別で1億円~5億円と結構な開きがあったりするのでできれば2億円くらい支払われる保険のがいいですな。今の所、自転車事故の高額賠償金額で1億円を超えた判例は無いですが、一人で9000万円強の判例はあるので複数人一気に殺めてしまったら1億円を超えてしまうかもしれませんね…
ちなみにこの個賠、一般的な契約だと1世帯の1人が加入すれば、契約者(記名被保険者)、契約者の配偶者、契約者または配偶者と「同居の親族および別居の未婚の子」が保障対象となるので、サザエさんで例えるとマスオさんが個賠に加入したらカツオとワカメも保障対象となるんです。
大学なんかの理由で一人暮らしさせている子供も独身であれば対象となるので、子供が一人暮らしだから別途かけたほうがいい!ではなかったりします。
と、いうわけで自転車保険の加入を検討するなら、
・現在加入している自動車保険、火災保険、傷害保険等の損害保険に特約として個賠が付けられないかをチェックする
・付けられても加入したい人が保証対象から外れていないかをチェックする
って事をしたほうがいいですよ。意外と保障対象外になりやすいのが子供じゃなくて「お年寄りの一人暮らし」なんですよね。今の所(2021年4月)自転車保険義務化になっている地域で個賠がついていなくても罰則はないのですが、年をとっているからってめちゃくちゃ高くなるって保障でもないですからお早めのご検討をしたほうがいいかと思います。まぁ自転車事故ってネットで調べるとすぐわかるのですが高齢者の4~5倍中高生が起こしているんですけどね。そりゃ加入義務化にもなるよなぁ…
ちなみに自転車事故での事例で最も有名というか、よく例に出されるのが男子小学生がおばあちゃんに自転車でぶつかって意識が戻らなくなり1億円近く支払い命令されたってやつなのですが、この判決が裁判所から出たとき高額な賠償額であることの他に、子供が起こした事故について母親に出された支払い命令であることがものすごく話題になったんです。
その判決の裏側で、これも調べればすぐわかるのですがなんでもこの小学生がとんでもない、いわゆるクソガキで他にも色々やらかしていたというのと、母親がその子供の改善を行っていなかった保護責任者義務違反が合わさった結果このような判決となったみたいですね。
で、当然こういう素行の宜しくない人だから賠償金を払わないでバックレたり自己破産したりするんじゃないの?って思うかもしれませんが、重過失による高額な不法行為に基づく損害賠償金は破産法における免責の対象とはなっていないので支払い義務が消滅することはないんですよね。つまり、破産しようが生活保護になろうが生きている限りこの母親と子供はずーーーっと賠償金を払わなければならないんです。
ここまで極端な判例は相当な重過失でないとなさそうですが、近年では自転車で歩行者を跳ねて死なせると、過失にもよるけど自動車で跳ねて死なせたくらい賠償金が発生したりするケースが結構あるので自転車に乗る人は義務化云々の前にとりあえず自転車保険または個賠に加入しておいたほうがいいですよってお話でした。
※保険会社によって保障の範囲や保険金額、免責事項が変わっていたりすることがありますので、詳しくは各損害保険会社にお問い合わせ下さい。
“自転車保険あれこれ” に対して1件のコメントがあります。