せいたんとチャリ2

前回は下のリンクから読めるので、せいたんが誰って思う方は最初にそちらの記事からどうぞ。

 

せいたんとチャリ

 

 

 

中学3年生の夏、わたしは夏休みに入る前まで部活をしていた。陸上部だったのだが、普通なら中学校総合体育大会(中総体)が終わる6月に3年生は引退すると思うけど、何故か大会で勝ち残ってしまいまわりの皆が部活を終えてそろそろ受験対策かぁ、なんて時に後輩達と走ったり飛んだりしていたのである。

 

わたしは受験に対する不安は…なんとかなるだろうと特になかった。学校以外で勉強なんてしなかったし、少しの間近所にある個人塾にも通っていたけど、学校で部活の練習して、死ぬほど走り込んだ後に塾に行った所で勉強なんかする気になる訳がないじゃないですか、特にそこの塾に面白さも感じなかったし。なので、塾の授業の間にこっそりゲームボーイを持ち込んでカービィのピンボールをプレイしていたら塾は破門されてしまったのです。風紀を乱すから仕方ないね。

 

そんな部活をするか遊んでるかの生活をわたしは送っていたので、中3の夏休みもただひたすら遊んで、およ家の家訓、というか親父のもう働け発言の通り親父紹介のバイトをして過ごすんだろうな、そう思っていた。わたしの成績は全く勉強せずとも中の中、つまり普通だったのでまぁどこかの高校には受かるだろうと思い、お気楽生活を送るのだろうと踏んでいたのだ。

 

しかし、そんな受験生らしからぬわたしを見かねたのか、普段は干渉しないお袋がある日わたしにこうぽつりとつぶやいたのです。

 

 

最後の夏休みくらい勉強してくれないかな…

 

うん、まぁそうだよね、受験生だしね。勉強した方がいいかもね。幸い夏休みってどこの塾でも夏期講習なんて一見さんを取るイベントをするじゃないですか。解ったよお袋、なんか捜してみるわ、なんて返答したわたし。

 

所がですよ、勉強なんてする気のなかったわたしが、夏期講習をしている塾を探そうなんて思っても、どこに塾があるか、どこで申し込むかなんて解らないんですよ。そばが嫌いなのにそば屋の位置だけ知ってる人なんていない訳で、勉強する以前に路頭に迷ってしまったおよ少年。

 

そんなわたしに救いの手を差し伸べたのがせいたんでした。せいたんはわたしと同じ部活で、大会で勝ち残ったので、部活延長組。ウエイトトレーニングなんかをしながら、いやぁ夏期講習用の塾見つからないんだよな~どこかない?ってせいたんに聞いたら、

 

あ、俺の行ってる塾が夏期講習の募集をしていたから、およ来たら?

 

なんて言う。そう言えばせいたんは転校生で、うちの地域に来た時に元の地域との勉強の進み具合が違って苦労し、親の薦めで仕方なく塾に行っていた事を思い出した。他に行く当てもないわたしはオケオケ、その塾にいって見ることにするよ、とせいたんに行った。

 

部活後、せいたん塾に出向き、夏期講習をまだ募集しているかと聞いたら、はいって言われたのでその場で申し込み。こうしておよ少年は中3の夏、夏期講習を受けることになったのである。

 

しかし、この塾やばいんじゃないか…って気づいたのは夏休みに入り、夏期講習の前に行われたクラス分けのテストでのことだ。この塾、夏期講習のクラスが二通りで特別進学コース(良い高校に行こうとするガリ勉の巣窟)と普通進学コース(習ったことを復習するのが主なコース)しかない。成績が並のわたしはさっぱり勉強してこなかったのにいきなりガリ勉達とゴリゴリ授業を受ける自信がなかったし、かといって復習するほどわからないってこともないしでどちらのコースに行くにしてもわたしには地獄じゃないか…

 

せいたんはこの塾にずーっと通っていて目的が学校の復習だから当然普通進学コース。楽しくやるならこっちだけど勉強が目的なら…うん。

 

…で、入学時の振り分けテストの結果、わたしは特別進学コースに。まぁ、なんとかなるさと思いながら夏期講習通いに開始。

 

夏期講習は軽い休憩とお昼以外はひたすら勉強する。そりゃ目的が勉強なんだから当たり前だけど、それがきついかなぁと思いきや塾も商売っちゃ商売だから、授業が結構おもしろい。歴史とかだと江戸時代の銭湯の裏事情(書けません笑)なんぞを交えて授業したり…まぁガリ勉女子にはセクハラな話っぽくなっちゃうし銭湯話は今の時代では無理だろうけど、ひたすら生徒を飽きさせない工夫がこの塾では随所に見られた。

 

学校の、教科書をなぞってただただ進める授業とは一味違う塾の講義。なんだ、こんな塾の授業が分かり易く楽しいならカービィのピンボールとかやりたくなる塾じゃなくて最初からこっちに来てればよかったなぁとか思いながら授業を受けるおよ少年。

 

で、お昼時間は自由なのでせいたんと外に出て公園でおにぎりをパクついたりしていたのだが、やっぱりせいたんは数学で悩む所が多かったようだ。せいたん、数学は悩まずにそのままこれはそうするもんだって考えた方が理解できるよ。と答えるわたし。そんな話をしていると、せいたんはこう言い出した。

 

所で、この塾に俺好きな人がいたんだ。

 

唐突、ひたすら唐突!せいたんは今も昔もこういう色恋事情は唐突にさらっと話す。お、いたんだってどういう事なのって聞いたら、群馬に転校しちゃったんだ。なんて言うせいたん。そうなんかぁ…と言うわたし。前回も(せいたんとチャリ参照)そうだけどもしかして離れたからせいたんが好きだとか思ったんじゃないのか?と思ったけど突っ込まずに、ボケッとしていたらせいたんが、

 

告白したかったな。

 

なんて言い出す。うん、何となく解っていた。だって山形は普通にチャリでいけたもんね。

女の人の相談って、答えは決まっていて背中を一押ししてもらいたいから相談というよりは報告だったりすることって、結構あるじゃないですか。この時のせいたんはまさにそんな感じ。いいよ、わたしは空気読むよ。いいよ、言うよ。

 

解った、群馬まで行くか。チャリで。

 

何てか、山形の時は普通にせいたんは振られたけど、後日相手の女の子にわたしのためにそこまでしてくれてうれしかったとか言われてせいたんは大興奮したみたいなんですよ。だからか、群馬の女の子にも同じ事がしたいな、ってさりげなくせいたんは考えていたみたい。で、山形も一緒に行ったおよなら一緒にきてくれるべ、とか思ってたようだ…まぁ行きますがね。群馬まで行くのは夏期講習をもお休みになるお盆期間に設定した。

 

 

で、お盆に突入。早朝、うちを出発するわたしとせいたん。群馬かぁ、やたら遠いから泊まりがけになるな、とテントやキャンプ用品一式をチャリに積み込みひたすら国道4号線を南下するサイクリングが始まった。初日の道中は、至って何事もなく、順調に、地元→白石→国見(ここから福島県)→福島市と歩みを進める。

 

てか、部活のしすぎで二人共体力だけは恐ろしくあったのだ…真夏でかなり暑いはずなのに陸上部の悪魔のような練習のおかげで割と平気に自転車を漕げる。この頃は部活の練習中、水を飲むなというのが美徳とされる時代だったのでチャリに乗りながら飲み物が飲めるだけでどこまでも行ける気がしてくる笑

途中、福島競馬場前を越えた緑色の橋?の辺りでどれが国道4号線の道なのか解らなくなりちょっと迷ったが、その辺にあった回るお寿司屋さんで昼食を取りつつ道を訪ねて解決。そのままひたすら南下し、日が暮れる頃には郡山市に着いた。適当なキャンプ場をツーリングマップルで捜しだし、今日はそこに泊まることに。距離にするとおよそ100キロ…さすがにちょっと疲れる。

 

で、キャンプ場に着いてから晩ご飯を買ってくるのを忘れていた事に気づいた。少しキャンプ場から離れた所に萎びた商店があったが、キャンプ場の人に聞いたらそこしか商店がないのでそこまで戻ってご飯を買いに行かなきゃならない。しかし、日も暮れているしさっさとテントも張らなきゃいけない。そこで、わたしはテント張りを、せいたんは買い出しと仕事を分担することにした。およ、何が食べたい?なんて聞くせいたんに、あぁ、何売ってるのか解らないし適当でいいよ、と答えた。

 

テント張り。テントを広げたり、骨組みを組んだり、ペグを打ち込んだり…ちょいちょいテントを張っていたのでさほど悩むこと無く作業を行っていると完成する頃にせいたんも帰ってきた。で、これ買ってきたよ~なんて言うせいたん。見せられたのが二人分の、

 

冷凍のエビピラフ

 

…わたしはエビが食べられない。食べると蕁麻疹が出て痒くなるからだ。子供の頃は普通に食べていたんですが、古いエビに当たってからそういう体質になってしまいました。いや、そういう体質だから当たったのかもしれないけど。

 

おおぅせいたん、わたしはエビが食べれないんだってば!ちなみにこの時もせいたんはわたしがエビを食べられないのを知っていたはずだが、あれ、そうだっけなんて言いやがった。ちなみにもう付き合いが25年以上あるけど未だにせいたんはわたしがエビを食べられないって言うと、あれ?そうだっけとか言います。興味ないんですね多分。

 

ちなみに余談だけどせいたんの家の近くで釣ったザリガニを二人で茹でて食べたことがあるので、エビの話になるとザリガニは食えるのにな、とせいたんに言われます。エビはだめでザリガニが大丈夫なのはたしかに不思議だよね、わたしも不思議である。

 

して、まぁ仕方ない。せいたん、そのエビピラフは君だけ食べればいいさねって言うと、ん?解ったと携帯していたバーナーに火を入れ、金属製の器でエビピラフを炒め出すせいたん。匂いを嗅ぐとお腹が減ってしまうので、テントに入って寝ることにしたわたし。

 

結構な距離分自転車を漕いだ疲れたからか、テントの中でシェラフ(寝袋)にくるまっていると、すぐうとうとするわたし。せいたんの、「あ、まだ冷たいけどいいや」なんて声が聞こえた。いいなぁご飯…腹減ったなぁ。

 

 

 

 

 

およ

 

 

およ…

 

 

どこかでわたしを呼ぶ声がする。最初は夢か幽霊かと思った。目を開けたら目の前にせいたんがいた。今はつけないけど、当時はカッコつけのために腕にしていたGショックを見ると、時刻は午前5時。どうしたのこんな朝早くに、もう出発するのって聞いたら?

 

腹がやばいんだ…下痢が止まらない…殆ど寝れなかった…

 

なんて言う。せいたんの顔は真っ青だ…どうしたのかと思ったらせいたんは「ううっ!」と言ってトイレに走っていった。

 

せいたん…あれはただごとじゃない。何か悪いものでも食べたのかなぁって思ったけど、多分夕飯のエビピラフしかせいたんは口にしていないはず…と、思いながらまだ外に出してあったエビピラフの袋を見てみると、

 

賞味期限が2年も過ぎてる…

 

アイスには賞味期限がないので結構勘違いされていることがあるけど、冷凍食品には普通に賞味期限があります(製造日から1~4ヶ月程度)。しかも、田舎の寂れた商店だとナマモノと違い冷凍庫内にある冷凍食品は気にしていないからか、昔は冷凍食品の賞味期限切れが普通に売られている事が多かった。うちの近所にある商店がその類の店なのでわたしは知っていたのだが…この賞味期限の事実は今せいたんに言うのをやめておこう。もっと具合悪くなりそうだし。しかも、昨日の寝がけに聞いたせいたんの言葉からして多分よく火を通していないだろうし…

 

今にも死にそうなせいたん、さてこれからどうするかと聞いたら、もう無理だわ、と言う。うん、仕方ない。せいたんはお父さんを電話で呼ぶらしい。うん、仕方ない。で、この後のせいたんの一言が今でも忘れられない。

 

 

んじゃ、後は群馬まで頼んだよ。

 

 

なんで、せいたんの思いを届けに、わたしが一人で行かなきゃならないのさ笑

 

と、いうか群馬までの道も、その子の家の住所もせいたんが調べて知っていたしなによりも、

 

わたしはその子の顔も名前も知らない笑

 

からわたしが一人で行ってもなんにもならないということでこの旅はリタイアと言う形で終了となった。結局、その後迎えに来たせいたんのお父さんの車に自転車をばらして積み込み、帰宅したのでした。ほんと、エビが食べられなくて良かった…幸いだったのが、山形の時と同じく群馬の子にせいたんが行くって連絡していなかったことですな、だいぶ手前での挫折だからかっこ悪いし笑。

群馬編と思わせながら結局福島で、しかも一日で終了したお話です。作り話だったらもうちょっと脚色できるけど、ホントのお話だから事実はこんなもんですね笑

 

中学生も高校生もこんな思いったらやってみてしくじり先生みたいなお話が多いですな。ちなみにせいたんは食中毒になったのだと思いますが、今でもエビが好きです笑

 

 

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