そぼろは何故甘い味付けなのか
ひき肉が余ったりするとよくそぼろを作ります。わたし流の作り方はシンプルでまずフライパンに少量の油を引き刻みニンニクを炒め焼き色が付いたらひき肉を投入、火が通ったら醤油を入れて味付け。目の細かいざるにひき肉を入れて油を切りその油で今度は卵を炒ります。卵は溶く際塩を軽く火とつまみと少々の牛乳を入れそぼろにしてもふんわりが少し残るように仕上げます。
こうしてできたのが写真のひき肉と卵のそぼろになります。ご飯に載せても当然良し、そのままスプーンで大人食いしてお酒のお供にしても良し…と、ここまでの内容でそぼろを作った事のある人だと「あれ?」となるかもしれません。そうです、わたしのそぼろには甘味を一切入らないのです。
実家にいた頃に出てくるそぼろは甘さがありました。というか基本そぼろってどこで食しても甘じょっぱいんですよ。3色鶏そぼろ丼とかよく見かけますが、そぼろが甘くなかった試しがないです。そんなそぼろの甘さに疑問を呈し、実家を出て自炊をするようになってからそぼろに甘さを付けないで作ってみると案の定そっちの方が好みだったのです。以来自炊の際のそぼろは甘さの無いものに仕上がっていました。
そんなそぼろを先日作っている時にふと抱いた疑問がタイトルの「そぼろは何故甘い味付けなのか?」だったのです。まぁどうせそぼろを始めて作った人が甘じょっぱい味付けをしたんだろうな…と思いながら調べだすと、そぼろについての驚愕の事実が判明しました。
まず、Wikipediaによると「そぼろ(素朧、粗朧)は、牛や豚や鶏の挽肉、魚肉やエビをゆでてほぐしたもの、溶き卵などをそのままあるいは調味して汁気がなくなりぱらぱらになるまで炒った食品。そのまま米飯にのせたり、ある種の寿司や弁当の材料として使用される。また、鶏肉のそぼろをダイコンやカボチャの煮物に用いたものはそぼろ煮と呼ばれる」と、ありました。
動物性のひき肉を炒めたものの他にも魚の身を細かくしたいわゆる田麩(でんぶ)や炒り卵もそぼろという総称に含まれるとありました。そこまでは今までで知っている知識でそうだろうなぁ…だったのですがこのそぼろって、
発祥が不明
なんです。こんなひき肉や卵を炒って味付けしたシンプルな料理なのに出どころが不明なんです。しかしながらそぼろの歴史を調べようとすると「浦上ソボロ」という言葉が出てきてそれが現状に残っている最古のそぼろ情報なのですが…
浦上ソボロは農林水産省のサイトによると「長崎県浦上地区が発祥の郷土料理。1500年後半、浦上地区でキリスト教を布教していたポルトガル人宣教師が、当時肉を食べる習慣がなかった信徒たちに「健康にいい食べ物」として豚肉を食べさせようと作られたのがはじまりといわれる。その後、信徒らは豚肉の量を少なくし、野菜をたっぷり入れて作るようになったため、それが基本レシピとして確立、いまに伝わったといわれている。名前の由来としては、ポルトガル語で「ソプラード(余り物)」からきたという説や、素材を粗く切ることを表す、「粗おぼろ」からきたという説がある。」
と、ありました。このサイトを拝見してこれがそぼろの元祖なの?と疑問が生まれたのにはその浦上ソボロの作り方にあります。それは、
「名称に「そぼろ」とあるが、挽肉は使わない。豚肉を細切りにし、それを揚げかまぼこや糸こんにゃく、もやし、にんじん、ごぼうなどといっしょに炒めて作る。味付けに酒(みりん)、醤油、ときには出汁も使うことから煮物としての側面もある。作る家庭によって入れる具材や調味方法はさまざまだが、素朴であきない味わいという点では共通している。」
そう書かれていたからです。つまり浦上ソボロはそぼろと付いているものの豚肉はひき肉ではなく細切りで更に沢山の具材が入ったごった煮の様な料理だからです。
そしてこの浦上ソボロ以外の情報がネットでは出てこないんですよ。おそらくでんぶもそぼろの中に入っているのでそぼろ自体は日本で生まれたと思われるのですが残っている最古の情報は浦上ソボロの以上、そぼろが何故甘い味付けなのか?という疑問には、
日本で最古の
そぼろとして
情報が残っている
「浦上ソボロ」の
味付けが酒(みりん)
醤油、たまに出汁を
使っていたから
と言うアンサーしかできないんですよね…浦上ソボロは浦上ソボロで500年以上の歴史がある素晴らしい食べ物だと思うのですが、シンプルにひき肉を炒った料理が何故甘い味付けなのかを調べたらそもそもそぼろの発祥が不明と言うとんでもない沼に陥ってしまいました…シンプルな調理方法だからこそ自然発生したのかもしれませんが全く情報が残っていないのはネットだけで図書館で食の歴史の本を調べたらもしかしたら解るのかもしれません。
あくまで予想なのですが日本って675年(天武天皇4年)に天武天皇が「牛・馬・犬・猿・鷄」の明確な肉食禁止令を発布し、それが1872年(明治時代)までと約1200年も肉食が禁止されていたからお肉の調理方法がおおやけには残っていないんでしょうね。なのでポルトガル人から教わった浦上ソボロの情報しか残っていないんだろうと思います。なのででんぶの方から各地の食を遡っていけばひき肉そぼろの始まりにたどり着けるのかもしれませんが…誰か調べてくれませんかね笑。ちなみに中国の肉でんぶに関しては1698年に鶏肉を使った作り方が残っているそうです。
そんな訳でそぼろが何故甘い味付けなのかを調べたらそもそもそぼろ自体が発祥不明の謎料理だったというとんでもない謎が残ってしまったおよでした笑。そぼろの情報をお持ちの有識者の方のコメントをお待ちしております笑
・参考サイト
Wikipedia
農林水産省
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