民話の里(宮城県柴田郡村田町)

宮城県岩沼市から村田町に抜ける道路の途中に「民話のみち」と書かれた道路があります。なぜ、この辺りが民話のみちと言われているのか…その辺りの疑問が解るのがこちら、

 

 

 

民話の里。正式名称は姥ケ懐民話の里 ふるさとおとぎ苑という施設があります。この施設では村田町に残る地元伝説「渡辺の綱物語」をおばあちゃんロボットが語り部として喋っているんだけど訛りが強すぎて何言ってるのかよくわからないんですよ笑。わたしははるか昔にここに来たことがあって若かりし頃のわたしにはちょっと難しすぎたようで話を理解しないまま帰った思い出があったのです。

で、わたしも結構いい年のおっさんになったことだしきっとおばあちゃんロボットが何を言っているのかもしかしたら解るようになったかもしれないと思い立ち寄ってみました。

で、いざ入館したらこちらの施設は今は無料と言われまして…え?おばあちゃんが民話を語ったりしないんですか?とお尋ねしたら…

 

おばあちゃんは

もう

語りません…

 

と、言われました…なんでですかね、壊れたんですかねおばあちゃんロボット…

 

 

 

現在この民話の里は地元食材で作られるそば屋さんがメインとなっているそうです。結構美味しそうなラインナップなのですが、営業時間が11:00から15:00までと結構短いんですよねぇ。わたしが訪れた時間は15時を過ぎていたので食べることが出来ずでした。そらまめ米粉麺なる不思議な麺もあったので結構気になりますね…他にも手ぬぐいとか、お土産も少しではありましたが売っていました。

で、肝心のおばあちゃんロボット自体は壊れているけど見学ができるとのことだったので、少し民話の里を散策してみることに。

 

 

 

立派なかやぶき屋根のこの建物は「旧八巻家住宅」といい、町指定文化財に登録されているそうです。この建物の中におばあちゃんロボットと共に昔の日常と風景が残して残してあるんですよ。ってことで中におじゃますると…

 

 

 

 

こわっ笑

 

フラッシュが点いてしまったので怖さ半減ですが実際はもっと室内は薄暗く、おばあちゃんの後ろに刀を持った侍と鬼みたいなのがいて何だか物々しい雰囲気なのです笑

昔はこのおばあちゃんロボットが何言ってるかわからない昔話を微妙に動きながら喋っていたのだけれども…ベンチがあるので腰掛けてまじまじと見ていたのですが、結構ディテールの細かい造形の人形なんですよね。もったいないなぁ直して動かしたらいいのに。

で、民話の里にはこの旧八巻家住宅の他に、

 

 

 

滅茶苦茶巨大な2つの水車「夫婦水車」を見学することが出来ます。大きい方が直径8m、小さい方でも直径3.5mあるのですごい迫力なんですが、おばあちゃんロボットよろしくこちらの夫婦水車も故障中なんですよね…なんだろう、この民話の里…すごいディストピア感を感じますね…時間が切り取られた感がめっちゃあります笑

残念ながら故障中ですが、この民話の里のまわりにも飾り石なんかがあってわりと散策できるので、お散歩するにはいい感じですね。で、結局この民話の里で語られていたはずの渡辺の綱物語とはどんな話だったのかここでは解らなかったので現代の力インターネットで検索してみたら、こんな感じのお話だったそうです。なんとなーくわたしがまとめたので若干の語弊があるかもしれませんがご承知下さい笑

 

 

渡辺の綱は平安時代中期の武将。嵯峨源氏の源融の子孫で、正式名称は源綱(みなもとのつな)。通称は渡辺源次。頼光四天王の筆頭として知られるそうです。

渡辺の綱の話はひとまずおいておいて、源頼光酒呑童子を成敗した伝承が残っているのは有名ですよね。酒呑童子とは丹波国の大江山、または山城国京都と丹波国の国境にある大枝(老の坂)に住んでいたと伝わる鬼の頭領、あるいは盗賊の頭目。酒が好きだったことから、手下たちからこの名で呼ばれていたそうです。平たく言えば悪党のボスですが、伝承されるとともにいつの間にか鬼になったんでしょうね。大昔は外人もでかいから鬼なんて言われてたみたいだし。

それで、渡辺の綱の親戚筋にあたる源頼光が酒呑童子を討伐した後、屋敷で頼光四天王と平井保昌と共に祝勝会をしていたところ羅生門にも鬼がいて悪さを繰り返しているという話が伝わってきました。羅生門は平安京、平城京の大門羅城門の事を言います。芥川龍之介の同名の小説が有名ですな。

で、その鬼の話を聞いた渡辺の綱は単身で羅生門へ乗り込み、壮大な格闘の末に鬼の右腕を源氏の名刀「髭切りの太刀」で切り落としましたがあと一歩のところで鬼に逃げられました。渡辺の綱は鬼の腕を石の長持ち(衣類や調度などを入れておく、ふたのある長方形の大きな箱を長持ちと言います)に隠し持ち、10人の家来を従えて逃げた鬼を探す旅に出て、日本中を巡りました。

そんな渡辺の綱御一行がこの村田町の地「姥ヶ懐」についたとき、腕を取り返そうとひそかに渡辺の綱を逆に狙っていた鬼が罠を仕掛けます。姥ヶ懐には渡辺の綱の「おば」が住んでいたのでそれを利用しようと鬼が企みました。

鬼は渡辺の綱のおばに化けて、京の都で切り落としたという鬼の腕を見せてくれるように頼みました。渡辺の綱がこれだよーと自慢気に腕を見せると、鬼は正体を現し、切り取られた鬼の腕を掴んで囲炉裏の自在かぎを伝って上にのぼり天井の煙出しから外に逃げてしまいました。

渡辺の綱が刀を抜いて追いかけるとあわてた鬼は転んでしまい、起き上がる時にそばにあった石に左手をついて立ち上がりそのまま逃げてしまいました。その後、姥ヶ懐では渡辺の綱の気持ちを思い、囲炉裏の自在かぎと天井の煙出しをつけなくなったという話でした。また節分の時も「鬼は外」とこの地では言わなくなったんだそうです。

ちなみに、鬼が逃げる時に転んだ後手をついたという石は今でも姥ヶ懐に祀られてあるそうです。おしまい。

 

 

なるほど、つまりこの姥ヶ懐の地で油断した渡辺の綱が鬼の策にはまってまんまとやらかしちゃったって伝承なんですね。動かないおばあちゃんロボットの後ろにいる侍が渡辺の綱で持っている刀が髭切の太刀で、上に登って逃げようとしている鬼に向かって行っている様子なのか。若かりし頃おばあちゃんロボットが語っていたのはこんな話だったのかぁと納得しました笑

惜しいのはおばあちゃんロボットが壊れているせいでこの民話の里でこの話が語られているものが何もないことですな。もったいないなぁ立派な住宅もあるし鬼を扱うにはピッタリのおどろおどろしい雰囲気もあるし、そもそも失敗談の伝承って珍しいですよね。悪い何かをやっつけた伝承ってよく聞くけど、悪いやつにはめられたしくじり先生ってあんまないですよね。

 

そんなわけで、しくじり伝承が色濃く残るこの民話の里はマニアックな歴史好きの方にはおすすめできますね笑。民話の里のまわりもまるでトトロが出そうな感じのいい雰囲気なのでお散歩がてら訪問すると楽しいかも知れませんよ。ただ、残念ながら今の民話の里には一日過ごせるほどのボリュームはないので、何かと合わせて訪問してみて下さい。

 

姥ケ懐民話の里 ふるさとおとぎ苑
宮城県柴田郡村田町大字小泉字肬石2
営業時間 9:30~17:00(そば屋さんは15:00まで)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日が休み)
入館料 現在は無料です

 

公式サイト(道の駅村田)

https://muratamachi.info/kankou/minwa.html

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