エゾシカを味わう
エゾシカ(蝦夷鹿)はその名の通り日本の北海道にしか生息しないシカ科シカ属に分類されるニホンジカの亜種。ニホンジカ亜種の中では最大級の大きさで、頭胴長が2m近く、体重が200kgくらいまで成長する個体もいる。
開拓が始まる以前の北海道では山野に満ち溢れるほどのエゾシカが生息していたと言われているが、北海道開拓が進むに連れエゾシカの乱獲と大雪、開拓による生息地の破壊により、エゾシカは絶滅寸前まで追い詰められたのが19世紀初頭。その後、乱獲と禁猟が繰り返されながらもエゾシカは生き残り、さらに雌のエゾシカの禁漁が長く続いたことからエゾシカの個体数は復活を遂げ、2010年度では北海道全域における生息数が約65万頭と推定され、戦後最多の状態となっている。
今はエゾシカの狩猟が全面的に解禁となったにもかかわらず、ハンターの高齢化や狩猟への新規参入のしづらさ、近年は暖冬傾向が続いておりエゾシカの寒さによる自然死亡率の低下、エゾシカの天敵だったエゾオオカミの絶滅等々いろいろな要因が重なってしまい、エゾシカの数が滅茶苦茶に増え、農林業被害の増加が目立つ昨今、その対策が重要視されているのです。
と、言うわけでそんなエゾシカのソーセージをお袋がどこかの北海道物産展で購入してきてもらったおよです。増えすぎてしまったエゾシカを駆除するんだったら食べましょうみたいな感じになっているようですね。ただし、北海道ではヒグマ対策のためなのかエゾシカを狩猟してその場で解体するのが禁止されていて、必ず解体場で捌かなければならないんだとか。
牛や豚と違ってジビエ(天然の野生鳥獣の食肉)のための解体できる解体場はそれほど多くないでしょうから、その辺りもエゾシカの肉の流通の難しさがあるのかなぁと個人的には感じます。北海道ってラム肉のために羊の解体場も結構あるみたいですからね、余計にジビエまで手が回らなそうな気がします。
そんなわけで食してみようと思ったのですが、ワニ肉やカエル肉も平気で食すわたしの気が若干気がすすまないのは、シカ肉って以前から色々なところから結構いただいて食べていたりするんですが、かなり淡白なんですよね。赤味ばっかりで脂身がなく、全体的に牛ハツ(心臓)のような味わいな感じで、それこそ刺身とか生っぽい方が美味しいんだろうなぁと思うけど、エゾシカは肝蛭(かんてつ、いわゆる寄生虫)、E型肝炎、食中毒等を引き起こす健康に悪影響のある病原体を保有していることがあるので生食厳禁なんですよ。
なのでそれを気にして火をきちんと入れると肉がガッチガチになっちゃうのがシカ肉だったり…そんなわけでソーセージだと結構ぼろぼろな感じになっているんじゃないかなぁと食べる前から億劫になっていました。しかしながらいただいた貴重品ですからしっかりと味わっていこうと思った次第です。
フライパンに油を引いて焼いていく。色が黒くなったのは焦げているんじゃなくてそういうシカ肉の特性からだと思われます。シカ肉ってきれいな赤だけど火を入れるとすぐ黒ずみますから。で、出来上がったのでいただいていきます。
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うまい!
全然ボソボソではないけど歯ごたえがあってっすごい美味しいです…なんというか、普通のソーセージのように肉汁がぶぁぁぁ!ってはならないんですよ。例えるならソーセージとサラミの中間のような味わいですかね。それでいてこのソーセージにはきちんとスパイスが練り込んであってもともと少ないシカ肉の臭みがまったく感じられませんでした。あぶらっこーい肉が好きな人からしたら物足りないかもしれませんがシカ肉は高タンパク低カロリーなので筋トレする人でもう鶏肉飽きたよーって人にはぜひ食べていただきたいですね。
いやはやエゾシカがこんなに美味しく食べられるとは思ってもいませんでした。このソーセージが日本中に知れ渡ってしまったらすぐエゾシカが絶滅の危機に見舞われるんじゃないですかね…風変わりな肉を食べたいなぁって人はネット通販で購入できますのでぜひお試し下さい。美味しかった。
と、言うわけでエゾシカの肉を楽しみながら北海道が舞台の漫画ゴールデンカムイをなんとなく揃えてしまったおよでした。そういやこの漫画でエゾシカの内蔵を出して腹の中に入って寒波を凌ぐシーンがありますね。結構色んな意味でメチャクチャな漫画だけどこちらもおすすめですので読んだことのない方は是非読んでみて下さい笑
エゾシカ肉の詳しい情報は下記のサイトをご覧下さい。
エゾシカ食肉事業協同組合