まーくん

6月も終わりに差し掛かり雨雲がうっとうしい頃、朝っぱらから師匠(大学の教授でわたしのゼミの先生)が大学のPCアドレスが書かれたショートメールを送って来た。時刻は朝の6時台…結構久々の連絡なのにこの時間は何事かと思いすぐに返信をする。しばらくして大学のPCからメールが来る。大学の同窓会からの依頼で創立20周年を迎える同窓会誌に一期生としての寄稿をお願いしたいとのことだった。とりあえず人が死んだとか、そういう悲しい話ではないことに胸を撫で下ろす。そして、わかりましたーと軽く返事をしたものの、今度は一体わたしが何を書けばいいのか悩む。

 

師匠がわたしにこういうことを頼むというのは、それすなわち大学同窓会誌20周年おめでとうございます。わたしは保険屋さんとして独立し、IT系サービス業との二足の草鞋で会社を経営しています。チキントラクターも作ったりしています、なんて事を書くのを師匠は絶対に望んでいないと思ったからだ。

過去記事のこれをみていただければおわかりいただけると思うが、そういう優等生的な事をまずわたしが寄稿するとは師匠も思っていないだろうし、そういうのを望むなら他の優秀だった人に頼むであろうし、そもそもわたしの大学時代は1,2年生の時はパチンコ(ほぼパチスロしか触ってないけど)に溺れ取得した単位は20そこそこ(卒業には4年間で126単位くらい必要)その後留年なんてしたらさすがに親に悪いと思い3,4年で100単位以上取って卒業と実質4年大学を2年で卒業するという荒業を成し遂げていて、当然師匠はそれを知っているのである。

もちろんその荒業は決して自慢できるものではなく、その証拠に後輩たちは1,2年の時にある程度単位を持っていないと留年するというルール改正が行われてしまったほどだ。おまけにわたしは卒業論文をパチンコ業界についてで書いている。師匠のゼミは環境系のゼミであるにも関わらずそのテーマで書いたのは卒論締切の一週間前まで何もしていなかったからであり、今から環境系の例えば当時人気だったのはISO14001とか、そういうのを調べてまとめるのは時間的に無理と悟り、思い切ってパチンコの話を書いたのだ。内容は詳しく覚えていないが今でもグレーゾーンというか、あまり公が触れることのないパチンコ屋の3店方式の解決方法をわたしなりに調べて詳しく書いた。

平たく説明すると3店方式というのは、パチンコ屋さんは今も昔もギャンブル場(賭場)ではなく遊技場である。遊技場故にパチンコ屋さんがお客さんに直接現金を渡すことはなく、出玉と引き換えに特殊景品を手に入れられてその特殊景品を買い取ってくれる質屋さんがパチンコ屋さんの近くにあるというシステムである。なんでそういう形態になっているのかと、その解決策をわたしなりにまとめた卒業論文は多くの卒業生たちにこんなんでもいいのかよ!と勇気を与えていたとは後に師匠からお聞きした言葉だ。ちなみに卒業論文はちゃんと締め切りまでに書いてきたという師匠の温情によりC判定でギリギリ合格。こうしてわたしのはちゃめちゃな大学生活は幕を閉じた。在校生の皆さん、ゼミに悩んでいたら師匠のところはいいですよ仏ですよ笑

 

そんなわけでわたしが寄稿するということは、昔はやんちゃだったけど今は真面目に経営者してるよテヘヘ//みたいなことを書くようには望まれていないであろうことは容易に想像できるはずだ。わたしが教壇に立ったときのように変化球、フォークボールのような文章を師匠はきっとわたしに望んでいるのだろう。と、なんとなく思った。

だがしかし、変化球と言えどあまりにも突飛で無責任で変なことは書けないだろう。うーんどうしようかなぁと思っていた時にちょうどやってきたメール(LINE)をみて、あ、これでいこうと直感で閃いた。

メールを送ってきた相手は、わたしと割とやりとりの長いまーくんだった。

 

 

まーくん。ゲームをするときのハンドルネームはマクラウド、元ネタは任天堂のゲーム「スターフォックス」の主人公でクールな狐のフォックス・マクラウドから。彼と知り合ったのは国民的人気ロールプレイングゲームドラゴンクエストの10(以下ドラクエ10)で、ドラクエシリーズ初のオンラインゲームだった。おそらく国内オンラインゲーム最大の同時接続17万人の記録を持ち(17万人がアストルティアという世界を一緒に楽しんで遊んだということ)おそらく今後この記録を破るオンラインゲームが現れるのは難しいだろうと言われてるくらい歴史的な背景を持つこのゲームで彼とわたしは出会った。

災厄の王といわれる、ドラクエ10初の8人で挑む(普段は4人)レイドバトル(他の人との協力バトル)で知り会いフレンドになったあーちゃんが呼べば何でも来るからといろんなクエストに連れてきたのがまーくんである。まーくんの当時の別名が便利屋まーくん。本当に誘えばなんでもホイホイとくるのでみんなまーくんを重宝していた。食わず嫌いをしないまーくんはアストルティアで大人気。ちなみにあーちゃんは「まっくん」と呼んでいたけどわたしは今も昔もまーくんと呼んでいる。

まーくんと遊んでいるうちに、およさんモンスト助けて(モンスターストライク、スマホで大人気のゲーム、ひっぱりハンティング)とか言われてLINEの交換をする。モンストはLINEからマルチプレイのお誘いができる。マルチプレイをすれば彼をサポートすることができる。これを機にわたしはまーくんとドラクエ10、モンストに限らず色々なゲームを彼とプレイするようになっていく。

そんな感じで色々ゲームをしていると出会った頃は高校生だったまーくんも浪人を挟んで大学生になる。が、相変わらずゲームはするものの、特に深く連絡のし合うこともない仲だった。ほとんどLINEはマルチプレイのためのツール。世間話程度はたまにするかな、そんなゆるーい感じをぶち壊したのはそれまでまったくまーくんと関係のなかったわたしのビジネスパートナーだ。

わたしのビジネスパートナーはわたしより少し年上の女性で、昔からお仕事を取ってきてくれるしシラフでは普通に愛想のあるありがたい人なのだが、お酒が入ると…少しなら別に変わらないのだが結構飲むと体育会系に豹変するのである。オラオラ系と言うか…そんな彼女と飲んでいた時にそれもたまたままーくんから他愛もないソーシャルゲームでこんなキャラがあたったよーみたいな自慢のどうでもいいLINEが入ってきて、それに返信していると、

 

おめーどこの女とメールしてんだよ

 

と、ビジネスパートナーが言うもんだからわたしも、いや、女ではなくてまーくんといってカクカクシカジカと説明してしまうと、なにその関係おもしれえなとか言いながら、

 

まーくんにLINE通話しちゃったわけですよ

 

それまで、LINEはあくまでゲームのマルチプレイのための手段だったわけで、もちろんまーくんと電話なんかしたことはなかったわけで…まぁおそらくでないんじゃないかなとか思っていたら普通に電話に出ちゃったわけです。まーくん。え、およさんどうしたの?電話なんて?みたいな感じで。

結果、酔っ払ったビジネスパートナーのおかげでまーくんとより一層どうでもいいようなやり取りが増えたのだが、なんというか、昔っからまーくんは次男坊よろしく結構ふわふわしてる子なのかなと思いきやそうでもないんだな、ということが解ってきたわけです。まぁ、そろそろビジネスパートナーは急にキレるのと飲んだら体育会系になるのは自分にとって損だと気づいてほしいもんです…

それで、まーくんとのやり取りが色々と面白かったし、ちょうど寄稿の内容で悩んでいる時にまた運悪くまーくんはわたしにLINEを送ってきたからひらめいてしまったわけです。あ、まーくんの事を書こう。彼大学生だし、大学の人たちに主に読んでもらうものだろうと思って。ただのノリで書いたのですが、割とサラサラと書けました。以下、その時の文章。

 

 

わたしにはまーくんという友人がいます。彼との出会いは今からおよそ6年前、とあるオンラインゲームで知り合いました。結構年の離れた友人ですが、そのオンラインゲーム内で連絡先を交換し、数々のゲームを一緒に楽しんできました。今でも結構な頻度で夜中まで彼と遊んでいます。

まーくんと出会った当初彼は高校生でしたが、時が経つとともに彼は浪人ののち、千葉にあるのに東京と名の付くディズニーランドのような大学に入学しました。が、大学生になっても毎日昔と変わらずに夜中までゲームを楽しんでいる。この子本当に大学に通ってるのかなぁとふと疑問に思い、ある時まーくんに「ちゃんと大学に行っているの?」と質問をしてみたんです。すると、彼は毎日のスケジュールをさらっと語りだしました。

まず朝起きたら大学に行き勉強。講義が終わったら野球サークルの練習。練習後は塾講師か家庭教師をこなして帰宅。ゲームを楽しむ、と毎日予定が詰まっていたのです。スケジュールを語り終えたまーくんはこう一言語って会話を締めたのです。

「できることは、全部楽しむ」

つまり、まーくんにとって大学の講義も野球サークルもバイトもゲームもすべて「楽しみたい事」だったわけで、そのために全部手を抜かず頑張っている。そして「楽しめないことはつまらない」とも言いました。普通の感覚であればつまらないことは楽しめないとなりそうですが、どどのつまり彼が言いたいことは、「人生は楽しみたい」でありその楽しむためには努力を惜しまない、ということでした。

その言葉をまーくんから聞いた私はかなり考えさせられました。当時私は営業の仕事をするサラリーマンでノルマをのらりくらりとかいくぐってなんとなく生活していたからです。仕事って不思議なもんで慣れてくるとやりたくないことだろうと行動がルーチン化して頑張らなくともなんとか仕事をこなして生活できてました。しかし、それが楽しいかと言われたら…

その後、私は自分のやりたいことをピックアップしてサラリーマンを卒業し、会社法人を設立しました。会社経営って雇われでは考えなくていいようなことばっかり考えて勉強しなければならないし、サラリーマンに比べて収入は安定せず、毎日それなりに忙しいのですが、私がやりたくないことはやらない会社なので今私は楽しんでいると胸を張って言えます。下手をすれば親子ほど年の離れた友人に教えられた「人生は楽しみたい」という言葉を皆さんにも共感していただけたらと思い筆を置かせていただきます。テーマは何でもいいけどとにかく楽しんでいればなんとなく努力するしなんとなく結果もついてきますので。

ちなみに、私は大学在学中はパチンコを楽しみすぎて留年しかけた苦い経験があるので今では賭け事にそんな興味がなくなりました。これはこれで全力で楽しんだ結果だと思います笑

 

 

と、書いたのはいいんですけどここである問題が。寄稿は400字程度だったんです。わたしはこのブログの通り結構文章を長く書くのは得意なんですが短くまとめるのは…と、言うことで短くまとめる作業は他の人にやってもらいました。ドラクエ10も一緒にやってたりした人ですが、出したら怒られそうなのでやめときます。

そして、大学20周年とは何ら関係ないまーくんのことを書いた文章を寄稿した結果が下記のサイトです。ちなみに自分の写真も添付して下さいとか言われたので風呂上がりに肌着で撮った写真を添付しました。なんか昭和の物書きみたいでいいかなーと、ちょうどわたしの後ろがふすまだったし。

http://www.tbgu-alumni.jp/wp-content/uploads/kaiho13.pdf

 

これまた特にオチのない話ですが、バックナンバーを含めてあんまり無い文章というか、多分師匠が考えていたような、ちょっとした冊子のスパイスにはなったんじゃないかなぁとは思います。まーくんは大学生になってもゲームばっかやってるのかなと思ったらそんなことはなかった。そしてそういうやり取りができるようになりまーくんのことが理解できたのでビジネスパートナーにも(酒癖悪いけど)感謝ですね。そんなわけでまーくん、

 

ネタにしてごめんね笑

 

先日師匠にあったけど結構な部数配られたみたいですねこの同窓誌。でもね、やっぱ人生楽しんだもんがちですよ。若いからできるとか、そういうのは言い訳にしてはいけない。子供でも老人でも、なんでも楽しんでる人はそれこそ輝いてますからね。

まぁ、まーくん轟絶狩りもたまには連れてってよねソロだときついわ笑

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